中途採用の給料が新卒より低い理由5つ!仕組みと給与交渉のポイントを解説

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転職したのに、なぜか新卒の同僚より給料が低い——そんな状況に「おかしくないか?」と感じた経験はありませんか?実はこれ、珍しいケースではなく、日本の企業の給与体系から生まれる、ある意味「構造的な問題」です。

このページでは、中途採用の給料が新卒より低くなる5つの理由を、企業側の事情も含めてわかりやすく解説します。また、給与が低い会社の特徴、法律的な問題はないのか、そして給与交渉を成功させるポイントまで、まとめて確認できます。

目次

中途採用なのに給料が新卒より低くなる、5つの理由

「中途だから経験があるのに、なんで新卒以下なの?」と思うのは自然なことです。ただ、企業がこういう給与設定をするのには、それなりの仕組みがあります。一つひとつ見ていきましょう。

年功序列の給与体系では、勤続年数がそのまま差になる

日本の多くの企業、とくに大手企業は「勤続年数に応じて給与が上がる」年功序列型の賃金テーブルを採用しています。このテーブルでは、毎年少しずつ積み上がる定期昇給が前提になっているため、新卒で入社した人は10年かけてゆっくり給与が育っていきます。

一方、中途採用者はその賃金テーブルの途中に「後から挿入」される形になります。同い年でも、社内での勤続年数は中途採用者のほうが短いので、自動的に低い位置からスタートすることになるんです。スキルや実務経験があっても、テーブルの仕組みそのものが「社歴が短い人に高い給与を出さない」設計になっています。

正直なところ、これは中途採用者にとってかなり不利な構造です。実力ではなく「いつ入社したか」で給与が決まる仕組みが色濃く残っている会社では、転職後に思ったような待遇が得られないことがよくあります。

新卒は将来への投資として、高めに評価される

新卒採用は「今すぐ使える人材」を確保することが目的ではありません。企業は新卒に対して「10年後・20年後の会社を支える存在になってほしい」という長期的な視点で投資します。つまり、初任給はその「将来性」に対して払っているお金です。

一方、中途採用者に求められるのは即戦力です。経験があって当然、早期に成果を出してほしいという期待がある分、「育成コスト」が見積もられにくく、逆に「スキルがすぐに活かせるか未知数」と判断されると、給与は低めに抑えられます。つまり、ポテンシャルで高く評価される新卒と、現状のスキルで査定される中途採用者とでは、評価の物差し自体が違うんです。

これを聞くと「じゃあ経験があるのに損じゃないか」と感じるかもしれません。ただ、裏を返せば、入社後に実績を出せば評価が変わりやすいのも中途採用の特徴です。新卒に比べて、「結果を出せば早期に昇給できる」という動き方ができる会社も増えています。

スキルと仕事内容がズレていると、給料が低くなりやすい

中途採用者の給与は、前職の経験が「応募先の仕事にどれだけ直接役立つか」で決まります。業界が変わったり、職種が少し異なったりすると、いくら経験年数があっても「うちの業務にすぐ使えるかどうかわからない」と判断されてしまいます。

このズレが大きいほど、企業は「様子を見ながら給与を決めたい」という姿勢になります。結果として、スタート時点の給与が低く抑えられるわけです。たとえば、同じ営業職でも「BtoB法人営業の経験者」として転職したのに、配属先の業務内容が想定と少し違う——こういった場合に給与が伸び悩むケースがあります。

転職前にできる限り業務内容を詳しく確認しておくことが、この問題を避ける第一歩です。「前職と似ている」では不十分で、具体的にどんなスキルが求められているかを確認してから応募することが重要です。

再教育にかかるコストが、給料に差し引かれることがある

中途採用者は「即戦力」として採用されますが、どんな経験者でも新しい職場の社内システム・ルール・文化に慣れるには時間がかかります。この「慣れるまでの期間」を企業は「再教育コスト」として計算しています。

この考え方はやや企業本位に聞こえますが、実態として多くの会社で行われています。とくに、社内のオペレーションが独自で複雑な会社や、専用のツールや制度が多い職場では、即戦力として活躍できるまでに数ヶ月かかることもあり、その間のコストが給与設定に影響します。

もちろん「再教育コストを明示して給与を下げている」と企業が公言することはほとんどありません。ただ、面接時に「最初は低めですが、研修後に見直します」と説明される場合は、このケースが該当している可能性が高いです。

試用期間中は、正式な評価がまだ確定していないため低く抑えられる

多くの企業では、中途採用者に対して3ヶ月〜6ヶ月ほどの試用期間を設けています。この期間は「本採用かどうかを判断するための見極め期間」なので、給与も正式採用後より低く設定されることがあります。

試用期間中の給与が低いのは、厳密にいえば「仮の待遇」です。この期間中に企業はスキルや適性を見極めており、本採用後に給与を見直す前提で設計されていることが多いです。ただし、「試用期間が終わっても給与が変わらない」という会社も少なくないので、入社前に「試用期間終了後の給与はどうなるか」を必ず確認しておきましょう。

試用期間中の給与について事前の説明が曖昧な場合は、面接や内定後の条件確認の場で積極的に聞いてください。確認を怠ると入社後に「思っていた金額と違う」というトラブルになりやすいです。

新卒の初任給が引き上げられている、という現実がある

最近、中途採用者が給与の低さを感じやすくなっているもう一つの理由があります。それが、新卒の初任給が急上昇しているという問題です。自分の給与は変わっていないのに、新卒の初任給が追いついてきた——そんなケースが各地で起きています。

企業の7割超が初任給を引き上げている

帝国データバンクの2025年調査によると、2025年4月入社の新卒社員の初任給を「引き上げる」と回答した企業の割合は71.0%に達しています。引き上げ額の平均は9,114円で、「1万〜2万円未満」の引き上げを予定している企業が最も多い状況です。

引き上げの理由として挙げられているのは、採用競争力の向上・物価高騰への対応・最低賃金の引き上げへの対応の3つです。特に人材不足が深刻な業界では、新卒に対して25〜30万円超の初任給を提示する企業も増えています。

初任給の上昇が、中途採用者との逆転を生む仕組み

新卒の初任給が上がっても、既存の中途採用者や在職中の社員の給与がそのまま据え置かれると、給与の「逆転現象」が起きます。入社2〜3年目の社員より、今年入ったばかりの新卒のほうが月給が高い——というケースが実際に起きているんです。

これは中途採用者にとってはかなり理不尽に感じられる状況ですが、給与テーブルの改定に時間がかかる大企業ほど起きやすいです。もし今の会社でこの状況に直面しているなら、それは個人の評価の問題ではなく、会社の給与体系の構造的な問題である可能性が高いです。

中途採用の給料が低くなりやすい会社の特徴

どんな会社でも一律に給料が低くなるわけではありません。特定のタイプの会社で起きやすい傾向があります。転職先を検討するときの参考にしてください。

年功序列型の賃金テーブルを採用している会社

勤続年数に連動して自動的に昇給する仕組みが残っている会社では、中途採用者は「途中から入ってきた人」として低いランクに置かれやすいです。個人の能力よりも「社内での年数」が給与を決める仕組みなので、外からいくら優秀な人材が来ても、最初は低くスタートさせるのが当たり前の文化になっています。

こうした会社を見分けるには、求人票や面接での「年収レンジ」と「昇給の仕組み」を具体的に聞くのが効果的です。「年1回の定期昇給」という回答が出てきたら、年功序列型の可能性が高いと考えてください。

新卒一括採用を長年続けてきた大手企業

新卒一括採用の歴史が長い大手企業は、給与体系全体が「新卒で入社して長く勤める」ことを前提に設計されていることがほとんどです。そのため、中途採用者が後から加わった場合、うまく体系に当てはめるのが難しく、低い位置に落ち着いてしまいやすいです。

もちろん、大手企業でも中途採用に積極的に取り組み、給与体系を改善している会社は増えています。ただ、数千人規模の会社では制度改定に時間がかかるため、中途採用者の待遇が追いついていないことがあります。面接時に「中途採用者の昇給事例」を聞いてみるのも一つの手です。

社内の給与バランスを優先する方針の会社

「既存の社員とのバランスを崩したくない」という理由から、中途採用者の給与を抑える会社は少なくありません。たとえば、同じ職種の既存社員が月給28万円なら、中途採用者も同程度に揃えようとします。このとき、もし前職での給与が高かったとしても、社内バランスを理由に下げられるケースがあります。

これは採用担当者の個人的な判断ではなく、会社の方針として行われることが多いです。入社前の給与交渉の場で「御社の同ポジションの方の給与レンジを教えていただけますか」と聞いておくと、こうした状況が事前につかめることがあります。

中途採用の給料が新卒を下回るのは、違法ではないのか

給料の差に気づいたとき、「これって法律的にアウトじゃないの?」と思う人は多いはずです。ここでは、法律の視点から整理します。

労働契約法と賃金差別の考え方

結論から言うと、採用形態が違うだけで給与に差があっても、直ちに違法にはなりません。求人票の給与額はあくまで「見込み」であり、最終的な給与は採用面接や内定通知で求職者と合意してから確定します。その合意の上で契約が成立していれば、基本的に問題はないとされています。

ただし、例外もあります。求人票や面接時に「新卒と同等の給与からスタート」と説明しておきながら、実際には下限に設定していた場合、それは採用時の説明と実態が一致しない問題として、会社側が責任を問われることがあります。過去にこのケースで企業が指摘を受けた事案も存在します。

「同じ仕事をしているのに差がある」場合はどうなる

同一労働同一賃金の観点から見ると、まったく同じ仕事をしているのに採用形態だけで給与が大きく違う場合は、問題として扱われる可能性があります。ただし、これが適用されるのは主に正規雇用と非正規雇用の間の話で、正社員同士の給与差については法的な強制力が弱いのが現状です。

「同い年の新卒社員と同じ業務をしているのに給与が低い」という状況は、法律で即座に解決できる問題ではありません。現実的な対応としては、上司や人事に対して実績を根拠にした昇給交渉をするか、転職を選択肢に入れるほうが効果的です。

給料が低くても、転職にメリットがある場合もある

入社時の給与が低くても、長い目で見たときにプラスになる転職もあります。給与の「今」だけを見て判断するのは、早計なこともあるんです。

初年度は低くても、実績次第で早期に昇給できるケース

実力主義を掲げる会社や、成長期のベンチャー企業では、入社時の給与は低くても、半年・1年で見直しが入るケースがあります。年功序列型と違い、結果を出した分だけ評価に反映されやすいので、自分の実力に自信があるなら、むしろ伸びしろが大きいとも言えます。

「最初は低いが、実績次第でどこまで上がるか」を面接で具体的に聞いておくことが重要です。「頑張れば上がります」という曖昧な回答ではなく、「入社後○ヶ月で評価面談があります」「○%の昇給実績があります」など、具体的な制度や事例で答えてくれる会社は、評価の仕組みが整っている可能性が高いです。

賞与・手当・福利厚生を含めた総支給額で比べることが重要

給与の比較は月給の額面だけで判断するのは危険です。交通費・住宅手当・家族手当・資格手当などの諸手当、賞与の回数と金額、退職金制度の有無まで含めた「年収ベース」で比較する必要があります。

たとえば、月給が新卒より2万円低くても、住宅手当が月3万円支給される会社なら、実質的な手取りは逆転することもあります。求人票の「月給○○万円〜」だけを見て判断するのではなく、内定後の条件確認の場で総支給額の内訳を必ず確認しましょう。

年功序列より実力主義の会社のほうが、後から逆転しやすい

年功序列型の会社では、入社が遅い分だけ一生追いつきにくい構造になっています。一方、実力主義・ジョブ型雇用を採用している会社では、昇給の上限がなく、入社後の成果によって新卒社員を数年で追い抜くことも十分あります。

「今の給与が低い」という事実よりも「どう上がっていくか」の仕組みを見ることが、転職先選びで本当に大切な視点です。転職する理由が「年収アップ」ならば、現時点の提示額だけでなく、その会社の昇給の仕組みを確認することを優先してください。

中途採用での給与交渉は、9割が成功している

「給与交渉なんて難しそう」「嫌われたら困る」と思って、黙って低い給与を受け入れた経験はありませんか?実は、データを見ると交渉は思ったより通りやすいんです。

交渉した人の90.3%が給与アップを実現

マイナビの調査(2023年)によると、転職時に給与交渉を実施した人のうち、90.3%が給与アップに成功しています。さらに、希望額以上を獲得できた人は79.4%にのぼります。「交渉なんて無駄かも」と諦めるには、あまりに勿体ない数字です。

また、同調査では中途入社者の約33%が給与交渉を実施しているという結果も出ています。つまり、交渉できることを知らずに見送っている人が約7割いる、ということでもあります。交渉すること自体は、多くの会社で普通に行われていることだと認識してください。

給与交渉を切り出すタイミングと場面

給与交渉は「いつ言うか」が非常に重要です。タイミングを間違えると、交渉そのものが難しくなります。以下のポイントを参考にしてください。

  • 内定後・条件提示のタイミングが最適
  • 選考の初期段階や面接序盤は避ける
  • 内定承諾の前に交渉するのが基本
  • 転職エージェント経由なら担当者に代行してもらう方法もある

内定をもらった後であれば、会社側もあなたを採用したいという意思を持っています。この段階での交渉が最もスムーズで、企業にとっても「条件を詰める場面」として想定内の話し合いになります。逆に選考の早い段階でお金の話を持ち出すと、評価に悪影響が出ることがあるので注意してください。

交渉で使える3つの根拠の示し方

給与交渉で大切なのは「感情」ではなく「根拠」です。「前職はもっともらっていた」「生活が苦しい」という理由は企業には関係ありません。企業が聞きたいのは、「その給与に見合う価値があるか」という点だけです。

根拠として使いやすいのは、次の3つです。

  • 前職での具体的な実績や成果(数字があれば最強)
  • 市場の相場(厚生労働省の賃金構造基本統計調査や求人市場のデータ)
  • 応募先の業務に直結するスキルや資格の価値

たとえば「前職で○○のプロジェクトを担当し、売上を○%改善しました。この経験を活かせる点から、月給○万円をご検討いただけますか」という形で根拠と希望額をセットで伝えると、企業側も検討しやすくなります。

給与交渉で失敗しないために、避けるべき行動

交渉の成功率が高いとはいえ、やり方を間違えると逆効果になります。やってしまいがちなNG行動をまとめました。

感情的に「不公平だ」と伝えるのはNG

「新卒より給料が低いのはおかしい」「前職と比べると納得できない」という感情的な訴えは、企業の採用担当者には響きません。そもそも、企業側には給与体系に基づく合理的な設定をしているという自覚があることが多く、感情論には対応しにくいからです。

言いたいことがあっても、「不満を伝える場」ではなく「価値を提示する場」として給与交渉を位置づけることが大切です。感情を押さえて、「自分が貢献できることを根拠に希望を伝える」という姿勢を崩さないようにしましょう。

根拠のない希望額を提示すると逆効果になる

「できれば年収600万円は欲しいです」と根拠なしに伝えると、採用担当者に「現実を理解していない人」という印象を与えてしまいます。とくに前職よりも大幅に高い額を求める場合は、その差を埋めるだけの根拠がなければ、選考に影響することもあります。

希望額を提示するときは、必ず市場相場や自分の実績と照らし合わせた数字を出してください。「○○の経験があり、市場平均では○○万円程度が相場と認識しています」という形で話すだけで、印象は大きく変わります。

選考が終盤になるほど、交渉の余地は狭まる

内定承諾後に「やっぱり給与を上げてほしい」と言い出すのは、企業側に対してかなりの負担をかけます。場合によっては内定が取り消されるリスクもゼロではありません。

給与交渉は内定後・承諾前のタイミングに限定するというルールを守ることが、交渉を安全に進める最低条件です。「承諾前に一度確認させていただいてもよいですか」という言い方は、企業にとっても不快感を与えにくい自然な流れです。

転職先の給料をあらかじめ調べる方法

交渉の前に「相場感を持つ」ことが、結局一番大切です。感覚ではなくデータを根拠にした交渉ができれば、成功率は格段に上がります。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査を活用する

厚生労働省が毎年公表している「賃金構造基本統計調査」では、産業別・職種別・年齢別の平均賃金データが公開されています。無料で使えて、信頼性も高い一次情報です。自分の職種・年齢・業界の平均賃金を確認しておくと、交渉時の根拠として使えます。

ただし、データはあくまで「平均値」なので、都市部と地方、大企業と中小企業で差があることは念頭に置いてください。統計を参照するときは、自分の状況に近い条件でフィルタリングして確認することをおすすめします。

求人票の「想定年収」を細かく分解して読む

求人票に書かれた「年収○○万円〜」は、残業代・賞与込みで記載されていることが多いです。基本給だけ取り出すと、思ったより低い数字になることがよくあります。応募前に「基本給はいくらか」「残業代は固定か変動か」「賞与は年何ヶ月分か」を必ず確認してください。

特に注意が必要なのは「みなし残業代込み」の記載です。月給30万円に80時間分のみなし残業代が含まれている場合、実際の時給換算は最低賃金に近くなることもあります。求人票の数字をそのまま信じず、内訳を分解して読む習慣をつけることが大切です。

エージェントを使って市場相場を把握する

転職エージェントは、求人紹介だけでなく「あなたの市場価値」を教えてくれる存在でもあります。リクルートエージェント・マイナビエージェント・doda・パソナキャリアなどのエージェントに登録すると、担当者から職種・経験・スキルに応じた年収レンジを教えてもらえます。

また、エージェント経由の転職では企業との給与交渉をエージェントが代行してくれることもあります。自分で交渉するのが苦手な人や、どのくらいの金額を希望すればいいかわからない人は、エージェントを活用するのが現実的な手段です。複数のエージェントに相談して、相場感を複数の視点から確認するのがおすすめです。

まとめ:給料が低い理由を理解した上で、次の一手を考える

中途採用の給料が新卒より低くなるのは、年功序列の給与体系・育成投資の違い・スキルのズレ・再教育コスト・試用期間の設定という5つの構造的な理由があります。加えて、新卒初任給の引き上げが加速していることで、給与の逆転が起きやすい環境にもなっています。

「理不尽だ」と感じることは正直あると思います。ただ、その仕組みを理解した上で、給与交渉のタイミングと根拠を整えれば、状況は変えられます。転職エージェントや厚生労働省の統計データを活用しながら、自分の市場価値を把握して、納得できる条件で働ける環境を探してみてください。

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