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繁忙期がやっと明けた帰りの電車。調書を閉じて一息ついたところで、同期がFAS(財務アドバイザリー)に移ったという話や、どこかで見かけた「CFO候補」の求人がふと頭に浮かびます。「自分も動いたほうがいいのか。でも、ネクストキャリアはどうする?」と思ったまま、気づけば次の繁忙期の段取りを組んでいる。そんな状態が続いている人は、けっこう多いはずです。
迷いの正体は、選択肢が少ないことではありません。選択肢が多すぎて、今の自分からどれがキャリアの近道となるのか分からないことです。同じ公認会計士・税理士でも、Big4にいるのか、中小の会計事務所にいるのか、事業会社の経理にいるのか、日系か外資かで、近い行き先は変わります。
行き先は大きく8つで、監査法人・税理士法人への移籍、FAS・会計コンサル、戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、事業会社、実務家教員、独立です。早見表で自分の現職の行を見て、「近い」に入った行き先を2つに絞ってください。絞った2つは、転職エージェントの面談で、今の経験がどこまで通じるかを確かめるのが早い進め方です。相談先は、事業会社・監査法人・税理士法人へ移るならツインプロ、コンサルやPEファンドを比べるならAXIS Agentです。
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公認会計士の転職先は8つ。どこが近いかは「今の職場」で変わる
公認会計士・税理士の主な転職先は、監査法人・税理士法人への移籍、FAS・会計コンサル、戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、事業会社、実務家教員、独立の8つです。どこが近いかは資格の種類より、今の職場で何を任されてきたかで変わります。まず下の早見表で、自分の現職の行を見てください。
「会計士ならどこでも行けるでしょ」と周りに言われても、正直そうは思えない人は多いですよね。監査しかやってこなかった、税務申告しか知らない、という引っかかりがあるからです。その感覚は外れていません。公認会計士のキャリアパスは確かに広いのですが、今の職場からの距離は、行き先ごとにけっこう違います。
これから先、会計士の転職は「資格を持っているか」より「今の職場で何を任されてきたか」で、もっとはっきり分かれていきます。そこでこの記事では、現職ごとに親和性の高いネクストキャリアを分類しました。
以下の通り分類しています。なお、この分類は一般論としての整理です。
- ◎ 近い: 今の仕事の延長で、面接で話が通じやすい
- ○ 1つ足せば候補: 経験や知識を1つ足すと候補に入る
- △ 経由が多い: 別の行き先を一度経由してから入る人が多い
| 現職 | ◎ 近い | ○ 1つ足せば候補 | △ 経由が多い |
|---|---|---|---|
| Big4・準大手監査法人 | 監査法人への移籍、FAS・会計コンサル、事業会社 | 戦略コンサル、投資銀行、独立 | PEファンド、実務家教員 |
| 中小の監査法人 | 監査法人への移籍、事業会社(IPO準備・経理) | FAS・会計コンサル、独立 | 戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、実務家教員 |
| 大手の税理士法人 | 事業会社(税務・経理)、独立、税理士法人への移籍 | FAS・会計コンサル(税務の領域) | 戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、実務家教員 |
| 中小の会計事務所 | 独立、税理士法人への移籍、事業会社(中小・ベンチャーの経理) | FAS・会計コンサル(事業承継・税務) | 戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、実務家教員 |
| 外資系企業の経理・財務(英語・IFRSを使う) | 事業会社(外資系・海外展開企業の経理・財務)、FAS・会計コンサル | 投資銀行、PEファンド、戦略コンサル、監査法人への移籍 | 独立、実務家教員 |
| 事業会社の経理・財務(大手) | 事業会社(他社の経理・財務、経営企画) | FAS・会計コンサル、監査法人への移籍 | 戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、独立、実務家教員 |
| 事業会社の経理・財務(中小・ベンチャー) | 事業会社(IPO準備・CFO候補) | FAS・会計コンサル、独立 | 監査法人への移籍、戦略コンサル、PEファンド、投資銀行、実務家教員 |
| 独立(開業中) | 事業会社(CFO・管理部門の責任者)、実務家教員(本業と並べて) | FAS・会計コンサル、監査法人・税理士法人への参加 | 戦略コンサル、PEファンド、投資銀行 |
監査法人でIFRSや英語の案件が多い人は、「Big4・準大手監査法人」の行と、「外資系企業の経理・財務(英語・IFRSを使う)」の行の両方を見てください。
公認会計士の資格がない税理士の人は、「監査法人への移籍」を「税理士法人への移籍」と読み替えてください。財務書類の監査証明は、公認会計士か監査法人でなければ営めないと定められているためです(公認会計士法2条1項・47条の2、e-Gov法令検索、2026年10月31日参照)。
表の読み方は3つだけです。
- 自分の行の◎から、気になる行き先を2つ選ぶ
- ◎に行きたい先がなければ、○の行き先の「足すもの」を、次の「現職別に見る」と「8つの行き先を1枚で比べる」の2つの節で確かめる
- △の行き先は、経由先も含めて2段階で計画する
現職別に見る、近い行き先と入る前に足すもの
近い行き先は、今の職場で任されてきた仕事の種類で決まります。監査法人なら監査の経験、税理士法人なら税務申告の経験、事業会社なら決算や予算の経験が、それぞれの行き先での話の入口になります。
早見表で見つけた自分の行の◎が、まず確かめる候補です。ここでは現職ごとに、「◎の行き先」「強みとして話せること」「入る前に足すもの」の3点をそろえました。
Big4・準大手監査法人にいる場合
- ◎の行き先: 監査法人への移籍、FAS・会計コンサル、事業会社
- 強みとして話せること: 大きな会社の監査で、売上や在庫など論点の多い科目を見てきたこと。チームで期限までに監査を回しきった段取り
- 入る前に足すもの: FASならM&Aや企業価値評価の基礎。事業会社なら予算や管理会計(社内の判断に使う数字の作り方)の視点
大手にいる人は候補が多いぶん、かえって決めにくいはずです。迷ったら、「監査の外で何をしたいか」で◎の3つを分けるのがおすすめです。数字を使って決める側に寄りたいならFASか事業会社。監査の仕事そのものは好きなら移籍です。
中小の監査法人にいる場合
- ◎の行き先: 監査法人への移籍、事業会社(IPO準備・経理)
- 強みとして話せること: 規模の小さい会社の監査で、決算の作り方から相談に乗ってきたこと。上場を目指す会社の監査に関わった経験は、事業会社のIPO準備で話の入口になりやすいところです
- 入る前に足すもの: FASならM&Aの基礎知識。大手監査法人に移るなら、英語の資料や連結決算の経験
架空の例で考えてみます。中小の監査法人で、上場を目指す会社の監査を主に担当してきた人がいるとします。この人の◎は「監査法人への移籍」と「事業会社(IPO準備)」です。経営に近い場所へ行きたいなら、IPO準備の求人を先に見る、という順番になります。
税理士法人・会計事務所にいる場合(大手/中小)
- ◎の行き先: 事業会社(税務・経理)、独立、税理士法人への移籍
- 強みとして話せること: 法人税や消費税の申告を自分で回してきたこと。中小の会計事務所なら、記帳から決算、社長への説明まで一通りこなしてきたこと
- 入る前に足すもの: 事業会社なら連結決算や開示(投資家向けに決算を公表する仕事)の知識。FAS・会計コンサルなら、事業承継や組織再編の税務
税理士の転職先も、ほとんどは会計士と重なります。大手の税理士法人にいる人は事業会社の税務部門が、中小の会計事務所にいる人は独立や中小・ベンチャーの経理が近い行き先です。
外資系企業の経理・財務(英語・IFRSを使う)にいる場合
- ◎の行き先: 事業会社(外資系・海外展開企業の経理・財務)、FAS・会計コンサル
- 強みとして話せること: 英語で本社に報告してきたこと。IFRS(国際財務報告基準)での決算や、日本の基準との差の調整
- 入る前に足すもの: 投資銀行やPEファンドなら、財務モデル(会社の将来の数字を表計算で組む作業)の経験
英語やIFRSの経験は、外資系の会社や、国をまたぐM&Aの案件で強みになりやすいところです。英語力を書類でも伝えたい場合は、転職で評価されやすい資格(TOEICなど)を足すものの候補にしておくと、話が具体になります。
事業会社の経理・財務にいる場合(大手/中小・ベンチャー)
- ◎の行き先: 事業会社(他社の経理・財務、経営企画、IPO準備、CFO候補)
- 強みとして話せること: 監査を受ける側として、決算を締めて説明してきたこと。中小・ベンチャーなら、経理の仕組みを一から作った経験
- 入る前に足すもの: 経営企画なら、事業計画やKPI(事業の目標を測る指標)の設計。FASならM&Aの基礎
事業会社にいる人は、同じ事業会社の中で役割を上げていくのがいちばん近い道です。大手なら経理・財務から経営企画へ。中小・ベンチャーならIPO準備やCFO候補へ。どちらも「決算を締める人」から「数字で次の手を考える人」へ寄っていく動き方です。
独立している場合
- ◎の行き先: 事業会社(CFO・管理部門の責任者)、実務家教員(本業と並べて)
- 強みとして話せること: 顧客を自分で見つけ、税務や決算を一人で回してきたこと。経営者と直接話してきた経験
- 入る前に足すもの: 組織に戻るなら、チームを動かす経験や、社内の調整の進め方
独立した人が組織に戻るのは、後ろ向きな選択ではありません。経営者の悩みを近くで見てきた経験は、管理部門の責任者の仕事とそのまま重なります。事務所を続けながら、教える場を持つという道もあります。
8つの行き先を1枚で比べる
8つの行き先は、仕事の中身、入る前に足すもの、監査法人と比べた忙しさの変化がそれぞれ違います。何を優先するか(専門性を深めるか、経営に近づくか、時間の自由を取るか)で選ぶと迷いが減ります。
「結局どこがいちばんいいのか」と聞きたくなりますよね。答えは、何を取りたいかで変わります。いちばん気になる「忙しさ」の列から見てください。
| 行き先 | 主な仕事 | 入る前に足すもの | 監査法人と比べた忙しさの変化 | 向いているのは |
|---|---|---|---|---|
| 監査法人・税理士法人への移籍 | 監査や税務申告を、別の法人で続ける | 移る先の担当領域(海外案件、IPO監査など)の知識 | 繁忙期の山はあまり変わらないことが多い | 今の仕事は好きで、環境だけ変えたい人 |
| FAS・会計コンサル | 買収前の財務デューデリジェンス、企業価値評価、決算の早期化やIFRS導入の支援 | M&A・企業価値評価の基礎 | 決算期ではなく、案件の締切ごとに山が来る | 会計の専門性を深めたい人 |
| 戦略コンサル | 経営の課題を整理し、打ち手を提案する | 思考の過程を見る選考(ケース面接)への準備 | 案件ごとに山が来る。会計以外の論点が中心になる | 会計の外の課題にも踏み込みたい人 |
| PEファンド | 投資先を選び、価値を上げて売却するまで関わる | 投資判断、事業の見立て、財務モデル | 投資の検討や売却の時期に山が来る | 経営に深く関わる側に回りたい人 |
| 投資銀行 | M&Aの助言、資金調達の実務 | 財務モデル、英語の資料作り | 案件次第で波が大きい | 大きな取引の真ん中にいたい人 |
| 事業会社 | 経理・財務、内部監査、経営企画、IPO準備、CFO候補 | 予算・管理会計、事業計画の視点 | 自社の決算期に山がある | 一つの会社の数字に腰を据えて関わりたい人 |
| 実務家教員 | 専門職大学院などで実務を教える | 教える経験、要件を満たす実務経験 | 授業の時期に合わせて組み立てる | 本業と並べて、教える場を持ちたい人 |
| 独立 | 税務顧問、記帳・決算の支援など | 税務申告の実務、最初の顧客の当て | 確定申告や顧客の決算期に山がある | 自分の名前で、時間の使い方も決めたい人 |
優先したいもの別に見ると、候補は次のように分かれます。
- 専門性を深めたい: FAS・会計コンサルが候補になる
- 経営に近づきたい: 事業会社のCFO候補・経営企画が候補になる
- 時間を自分で決めたい: 独立が候補になる
迷ったら、「専門性」「経営」「時間」のどれを先に取りたいかだけ決めてください。それだけで、8つの行き先は2つに絞りやすくなります。
監査法人から監査法人へ移る(Big4・準大手・中小の違い)
監査の仕事を続けたまま環境を変えるなら、監査法人間の移籍がいちばん近い選択肢です。大手監査法人は大企業や海外の案件が多く、中小の監査法人はIPOを目指す会社など規模の小さい会社の監査に関わる機会が多いという違いがあります。
監査は嫌いではない。今の法人の働き方や担当が合わないだけ。そう感じているなら、監査を続けることは十分に前向きな選択です。辞めて別の仕事に移るより、担当領域を変えるほうが、今の経験をそのまま活かせます。
いわゆるBig4は、あずさ(KPMGのメンバーファーム)・EY新日本・トーマツ・PwC Japanの4法人です(公認会計士・監査審査会「モニタリングレポート」、2026年10月31日参照)。その次の規模の法人は「準大手監査法人」、それより小さい法人は「中小規模監査事務所」と分けられています。
移籍で変わりやすいのは、次のようなところです。
- 担当する会社の規模と業種
- 海外の案件や英語の資料に触れる機会
- IPO監査の比重
- 昇進の階段と、評価のされ方
- 繁忙期に一人あたりが抱える会社の数
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FAS・会計コンサル・戦略コンサルに移る
会計の専門性をそのまま使えるのは、FAS(財務デューデリジェンス・企業価値評価などのM&A周辺)と会計コンサル(決算の早期化・IFRS導入・内部統制など)です。どちらも、監査法人出身者にとって近い行き先です。戦略コンサルは会計より事業の課題解決が中心になるため、思考の過程を見る選考への準備が要ります。
監査は、数字が正しいかを確かめる仕事です。そこから一歩進んで、数字を使って会社の決断に関わりたい。コンサルを考える人の多くは、そんな前向きな動機を持っています。同時に「コンサルって激務なのでは」という不安もありますよね。ここでは仕事の中身と忙しさを分けて見ていきます。
FAS・会計コンサル
FASで扱う仕事は、主に次の3つです。
- 財務デューデリジェンス: 買収の前に、相手の会社の財務を調べる仕事
- 企業価値評価: 会社や事業にどれだけの価値があるかを算定する仕事
- M&Aアドバイザリー: 売り手や買い手の側に立って、取引を進める支援
会計コンサルは、決算の早期化、IFRS導入、内部統制(ミスや不正を防ぐ社内の仕組み)の整備などを支援します。どちらも、監査で見てきた論点がそのまま使える仕事です。
正直に言うと、FASに移って忙しさが軽くなるとは限りません。変わるのは量より山の来方で、決算期ではなく案件の締切ごとに山が来ます。繁忙期が年に一度まとまって来る監査とは、波の形が変わります。向いているのは、会計の専門性を武器にしたまま、会社の大きな判断に近づきたい人です。
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戦略コンサル
戦略コンサルは、売上を伸ばす方法や、事業の撤退・参入といった経営の課題を扱います。会計の論点は、そのうちの一部です。
中途の選考でも、ケース面接を課すファームが多いです。ケース面接とは、「ある商品の売上を伸ばすには」といった問いに、その場で考えを組み立てて答える面接です。会計士の数字の強さは入口になりますが、それだけでは足りません。問いを分解して、仮説を立てて話す練習が要ります。
入社後は、ファームによって呼び方は違いますが、コンサルタント、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーのように職位の階段を上がっていくのが一般的です。シニアマネージャーとはどんな役職か(役割と年収の目安)を読んでおくと、上のほうの職位のイメージがつかめます。
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事業会社に移る(経理・財務・CFO・内部監査・経営企画)
事業会社では、経理・財務、内部監査、経営企画、IPO準備、そしてCFO(最高財務責任者)候補が、会計士・税理士の主な行き先です。監査を受ける側から数字を作って使う側に回るので、決算の締め方や予算の立て方を自分で決める立場になります。
会計や監査の定型作業が自動化で軽くなっていくほど、会計士の価値は、数字を確かめる側から、数字を使って事業の判断に加わる側へ寄っていくと私は見ています。調書を作りながら「この作業、いずれ機械がやるのでは」と感じたことがある人ほど、この流れは他人事ではないはずです。
繁忙期のたびに、何社もの数字を外から追いかける。そうではなく、一つの会社の数字に腰を据えて関わりたい。経営に近い場所で、判断する側に回りたい。事業会社を考える人の気持ちは、だいたいこのどちらかですよね。事業会社での主な仕事は次のとおりです。
- 経理・財務: 決算を締め、資金繰りや銀行との調整を担う
- 内部監査: 社内のルールが守られているかを、会社の内側から点検する
- 経営企画: 事業計画や予算を作り、経営陣の判断の材料をそろえる
- IPO準備: 上場に向けて、決算の早期化や社内の仕組みを整える
- CFO候補: 財務の責任者として、資金調達や投資の判断に関わる
IPO準備は、監査法人で上場準備会社の監査を見てきた人にとって、話の入口が見つけやすい仕事です。外から見ていた課題を、今度は中から片づける側に回ります。応募するときは、なぜ監査の側から移るのかを言葉にしておくと、面接の話がぶれにくくなります。書き方は経理への転職理由や志望動機の書き方(IPO準備企業の例文を含む)が参考になります。
「担当していたクライアントから、うちに来ないかと声をかけられた」。そんなときに先に知っておきたいルールがあります。公認会計士法28条の2では、監査証明の業務をした会計士が、その会社などの役員やそれに準ずる地位に就くことを制限しています。期間は、監査した会計期間の翌会計期間が終わるまでです(内閣総理大臣の承認を受けた場合を除く。e-Gov法令検索、2026年10月31日参照)。
自分が監査していた会社に移れるかどうかは、役職や関わり方によって判断が変わります。気になる場合は、日本公認会計士協会や弁護士に確認してください。
向いているのは、一つの会社の数字に長く関わり、決める側に回りたい人です。
PEファンド・投資銀行・実務家教員は遠い?近づくなら、どこを経由するか
PEファンドと投資銀行は、会計の知識に加えて投資判断や資金調達の実務を求められるため、FASなどを経由して入る人が多い行き先です。実務家教員は、実務の経験年数などの要件を満たしたうえで、本業と並べて持つ道として考えられます。
名前はよく聞くけれど、自分には遠い。この3つは、そう感じる人が多い行き先です。遠い理由と、近づくための経由のしかたを短く整理します。
PEファンド
PEファンドは、投資家から集めたお金で会社に投資し、経営に加わって価値を上げ、売却するまで続ける仕事です。会計の知識だけでなく、投資するかどうかの判断や、事業がこの先どうなるかの見立てが求められます。そのため、FAS・投資銀行・戦略コンサルでM&Aや事業の分析を経験してから入る人が多い行き先です。早見表で△が多いのはこのためです。
投資銀行
投資銀行は、M&Aの助言や、株式・社債での資金調達を支える仕事です。財務モデルの作成や、英語での資料作りが日常になります。忙しさは案件次第で、大きな取引が動いている時期は波が大きくなります。会計士の強みは決算書を深く読めることですが、取引を前に進める段取りの力も合わせて見られます。
転職エージェントは、大手の総合型と、領域を絞ったブティック型を使い分ける人が多いところです。違いはブティック型転職エージェントとは(大手との違い)にまとめています。
【PR】PEファンドや投資銀行は、FASやコンサルを経由して入る人が多い行き先です。経由先のファームも含めて比べたいなら、相談先を早めに持っておくと2段階の計画が立てやすくなります。
実務家教員
実務家教員は、実務の経験をもとに、大学院などで教える人のことです。会計の分野には、会計専門職大学院(アカウンティングスクール)があります。会計専門職大学院では、専任教員のおおむね3割以上を、専攻分野でおおむね5年以上の実務経験と高度の実務の能力がある実務家教員にすると決められています(平成15年文部科学省告示第53号 第2条、文部科学省の資料、2026年10月31日参照)。会計の実務を積んできた人にとって、遠すぎる話ではありません。
いきなり専任教員になるより、非常勤講師や資格の専門学校の講師から始め、本業と並べて続ける人もいます。教える経験を少しずつ積んでおくと、選択肢として持ちやすくなります。
独立開業する(税理士登録と、最初の顧客の作り方)
公認会計士は税理士となる資格があり(税理士法3条1項)、独立して税務の仕事を受ける場合は税理士登録が要ります(同法52条)。税務顧問や記帳・決算の支援から事業を始める人が多いというのが、一般論としての見方です。監査法人だけの経験だと税務申告の実務が手薄なため、独立の前に税理士法人や会計事務所で税務を経験する道もあります。
いつかは自分の名前で仕事をしたい。でも、顧客ゼロから本当に始められるのか。独立を考える人の多くは、この2つの間で揺れています。
独立の前に確かめておきたいことを、チェックリストにしました。
- 法人税や所得税の申告を、自分で最後まで回した経験がある
- 開業してすぐ頼んでくれそうな顧客の当てが、少なくとも1つある
- 得意分野(業種、事業承継、IPO支援など)を一言で言える
- 開業後の繁忙期(確定申告や顧客の決算期)の乗り切り方を考えてある
チェックが2つ以下なら、先に税理士法人や事業会社で税務を深めてから独立するのも、十分に筋の通った順番です。独立したあとで、事業会社のCFOなどとして組織に戻る選択肢も残ります。
押さえる制度は2つです。1つは、税理士名簿への登録が要ること(税理士法18条・19条)。もう1つは、税法の研修の修了が条件になる場合があること(同法3条3項)です(e-Gov法令検索、2026年10月31日参照)。
動く時期は、繁忙期と「任された仕事の区切り」で決める
転職活動は、監査なら3月決算の会社の監査が集中する時期、税務なら確定申告と法人税申告が重なる時期を避けて進めるのが一般的です。経験年数の目安より、主担当として1年分の監査や申告を回しきったかどうかといった、任された仕事の区切りで判断すると迷いが減ります。
「もう少し粘ったほうがいいのか」と迷い続けると、気づけば次の繁忙期が来てしまいます。年数ではなく区切りで考えれば、今年動くかどうかを決めやすくなります。
日付は、会計士・税理士なら説明するまでもないですよね。所得税の確定申告は原則3月15日まで、法人税の申告は原則、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(国税庁、法人税法74条1項。いずれも2026年10月31日参照)。この日付と、3月決算の監査が重なる春を避けて、動く時期を逆算します。
監査の側では、3月決算の会社が多いため、春から初夏にかけて監査が集中するのが一般的です。法人や担当する会社によって山の時期は違うので、自分の繁忙期を先に書き出しておくと計画が立てやすくなります。
動き出しの進め方を、一例として表にしました。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 繁忙期が明けた月 | 早見表で自分の行を見て、近い行き先を2つに絞る |
| その翌月 | 転職エージェントの面談で、2つの行き先に今の経験がどう通じるかを聞く |
| その後2〜3か月 | 応募と面接。次の繁忙期の前に、面接の山が来るように逆算する |
| 内定が出たら | 退職の申し出と引き継ぎ。次の繁忙期をまたぐかどうかを、今の職場と相談する |
架空の例で考えてみます。3月決算の会社の監査を主に担当している人なら、監査が落ち着いた月に行き先を2つに絞ります。翌月に面談で話を聞き、秋から冬にかけて面接を進めます。そうすれば、次の繁忙期の前に結論を出す流れが作れます。
「区切りがついたか」は、次の3つで確かめると判断しやすくなります。
- 主担当として、1年分の監査や申告を最初から最後まで回した
- 面接で「この仕事を、この範囲まで任されていた」と具体的に話せる
- 今の担当を引き継げる相手や時期の見当がついている
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転職エージェントの面談で聞くこと
転職エージェントの面談は、早見表で絞った2つの行き先に、今の経験がどこまで通じるかを確かめる場として使うのがおすすめです。聞くことを3つ決めて行くと、1回の面談でも判断の材料がそろいやすくなります。
「登録したら、すぐに転職を急かされるのでは」と身構える人もいますよね。聞くことを先に決めて行けば、面談は自分の見立てを確かめる場になります。持っていくのは、次の3つの質問です。
- 早見表で◎にした2つの行き先で、自分の経験はどう評価されそうか
- 入る前に足すものは何か。それは今の職場で足せるか
- 繁忙期と重ならない動き方はどうなるか
相談先は、絞った2つの行き先で選びます。事業会社・監査法人・税理士法人へ移るならツインプロ、コンサルやPEファンドを比べるならAXIS Agentです。行き先に合う相談先を選ぶと、法人ごとの担当領域や、ファームごとの選考の違いといった具体的な質問がしやすくなります。
あなたが知りたいのは、「どこへ行けるか」の一般論ではなく、「自分の行の◎は本当に近いのか」のはずです。その答え合わせには、まずツインプロの無料面談がおすすめです。FAS・コンサル・PEファンドも候補に入っているなら、AXIS Agentも並べて比べてください。
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ファームを広く比べたいなら
- FAS・コンサル・PEファンドも候補に入っている
- ファームごとの選考の違いを聞きたい
よくある質問
公認会計士・税理士の転職先について、検索の多い疑問を5つまとめました。
公認会計士が転職すると年収は下がりますか
下がる人も上がる人もいて、分かれ目は行き先の名前より「どの役職で入るか」です。事業会社では入社するときの役職によって条件が変わり、FASや投資銀行では成果や職位によって幅があります。条件は求人ごとに違うため、面談で「今の経験なら、どの役職で入れそうか」を聞くのがいちばん早い方法です。
監査法人には何年いてから転職するのがよいですか
年数より、仕事の区切りで考えるのがおすすめです。主担当として1年分の監査を回しきったかどうかが、面接で話せる経験の目安になります。動く時期は、繁忙期を避けたほうが進めやすくなります。
会計と関係の薄い業界や職種にも移れますか
業界が変わっても、決算・管理会計・内部統制の経験は話の入口になりやすいです。職種まで変える場合は、「8つの行き先を1枚で比べる」の表にある「入る前に足すもの」を先に用意しておくと、話が通りやすくなります。
独立する前に税理士登録はしておいたほうがよいですか
税務の仕事を受けるなら、税理士の登録が要ります。公認会計士は税理士となる資格があり(税理士法3条1項)、税理士になるには税理士名簿への登録が必要です(同法18条)。登録の時期は個別の事情で変わるので、日本税理士会連合会や各地の税理士会に確認してください。
税理士の転職先は、会計士と同じですか
多くは重なります。事業会社、税理士法人、独立、FAS・会計コンサルは共通の行き先です。一方で、財務書類の監査証明は、公認会計士か監査法人でなければ営めません(公認会計士法2条1項・47条の2)。早見表では、税理士法人・会計事務所の行を見てください。
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自分の行の◎を、プロと一緒に確かめる
まとめ
公認会計士・税理士の転職先は8つあり、どこが近いかは今の職場で任されてきた仕事で変わります。早見表で自分の行の◎から2つに絞り、繁忙期を避けて、転職エージェントの面談で確かめるのが早い進め方です。
- 早見表で、自分の現職の行を見る
- ◎の中から、気になる行き先を2つに絞る
- 絞った2つを、繁忙期を避けて面談で確かめる
8つ全部を比べる必要はありません。今週やることは一つだけです。早見表で自分の行を探して、◎の中から気になる行き先に2つ印をつけてください。印がついた2つは、次の繁忙期が来る前に、面談で答え合わせをしておくのがおすすめです。相談先は、監査法人・税理士法人・事業会社ならツインプロ、コンサルやPEファンドならAXIS Agentです。
出典
- e-Gov法令検索「公認会計士法」(昭和23年法律第103号)2条1項、28条の2、47条の2 https://laws.e-gov.go.jp/ (2026年10月31日参照)
- e-Gov法令検索「税理士法」(昭和26年法律第237号)3条1項・3項、18条、19条、52条https://laws.e-gov.go.jp/ (2026年10月31日参照)
- e-Gov法令検索「法人税法」(昭和40年法律第34号)74条1項https://laws.e-gov.go.jp/ (2026年10月31日参照)
- 平成15年文部科学省告示第53号(専門職大学院に関し必要な事項について定める件)第2条 文部科学省https://www.mext.go.jp/ (2026年10月31日参照)
- 公認会計士・監査審査会「モニタリングレポート(令和8年版)」https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20260717/2026_monitoring_report.pdf(2026年10月31日参照)
- 国税庁「No.2020確定申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm(2026年10月31日参照)

